易往山 浄勝寺ブログ

岐阜県 揖斐郡 大野町にある、浄土真宗 本願寺派のお寺「浄勝寺」の紹介です。

紙の本でこそ発見がある―「徒然草」

・吉田兼好『徒然草』 島内裕子 校訂と訳と評 ちくま文庫
/ 木藤才蔵 校注 新潮日本古典集成


集成 tikuma_turezure_convert_20171027202337

 写真では同じ大きさになっていますが、島内先生のは厚い文庫本。木藤先生のは、その倍くらいのサイズです。
 あまり考えもせずに、このごろのは国文学は女性がわかりやすそうだから…という直感だけで、島内・大先生で『徒然草』を読むことにしましたが、ちょっとした説明を知りたいと思っても語句の説明はほとんど付いてなかったので物寂しく、そういうときの参考書として、木藤先生の徒然草もそばに置いて、2冊同時読みで進めることにしました。

 なにしろ趣味の(教養の)読書ですから、読書の仕方にルールはありません。
 まず 「」 を読みます。島内先生の、ものすごく広い古典教養の、おこぼれも手に入ります。
 面白くなさそうなら次の章へ。面白ければ―ピンとくる何かがあれば―その前の 「」 へもどります。この訳はとても親切で、原文の2、3倍あることがザラです。おかげで、はっきり意味がわかってありがたいですよ。
 私は古文が苦手なので、あんまり原文は読みたくないのです。内容によっては、せっかくですからチラッと見ておくこともあります。
 中学生のころ読まされた章は、避けたい気分で、すっとばすこともあります。たいした深い内容ではなかろうと邪推してしまう自分がいます。

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 読んでいてうれしくなったのは、荘子や老子の名文句と出会えることです。思わず口に出して、「小人に財あり、君子に仁義あり」と言ってしまいます。家族はきっと(またブツブツ何か言っとるわ)と思っていることでしょうね。
 あなたもいっぺん、声に出してみて下さい。どうです? いいものでしょう。

 で、最後の「僧に法あり」が、兼好法師の付け加えた文句なのです。新潮社の古典集成ですと、こんな感じ―

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 僧に法ありというのは、僧侶は仏法という事に、狭く囚われがちであるということです。理論化できるような妄想にとらわれやすいのが、ヒトというものです。
 現代の浄土真宗の状況で言えば、「御法義、御法義」と有難そうに言っている、軽い僧侶がいっぱいいて、ご法義を教えよう教えようとしています、ということでしょう。
 教化者意識で自分の求道が止まるのです。後の道は、自分を飾ることと、物・人を集めることだけでしょう。
 これは今は亡き 三浦乗雲師(北方町の西順寺)からくりかえし注意を受けたことでもあります。
 たとえ御本山といえども、法については、すぐに固定化、権力化するということを、前提として意識していなければなりません。法は大衆化出来ないものです。
 大衆化したいこと自体(それは貪欲とんよく!)が、その心がすでにカルトに転落しつつある証拠だと思います。人ごとではないのです。

 蓮如上人は、いろんな面のあった、複雑なお方だと思いますが、名言も残されています。
「一宗の繁昌と申すは、人の多く集まり、威の大きなることにては、なく候。一人なりとも、人の信を取るが、一宗の繁昌に候。」と大衆化をいましめて、おっしゃいました。
 私の先生(米沢英雄師)は「信心は電気のようなもの。人から人へ、ビリっと伝わる。」というように表現しておられました。…

 さて、古典集成を見て驚いたのは「殉死」「殉職」の殉という字は、「したがう」という字だったのか!という発見。
 こちらの先生は、章段ごとに赤字で、章の名前を付けておいてくださるのも、ありがたいですね。
 この章を読んでからずっと3日も4日も、「僧に法あり、僧に法あり」と考えていましたら、おもしろいものにぶつかりました。

 今 BS 12CHで1971年の長編ドラマ「大忠臣蔵」が放映されています。
 数多くの忠臣蔵のうちでも、もっとも濃い忠臣蔵だとの評判ですが、レンタルでは出されておりません。
 古いドラマ映画で、三船敏郎という愛すべき俳優の大石内蔵助なので、関心を持って少しづつ観ています。全52話。

 その、第3話での話。
 息子から「武士には士道というものがあります。士道というものは、あの海の如く、常には平穏に静かに波打ち、いったん事があれば…」と語りかけられ、「父上はどう、お考えですか?」と尋ねられた三船・内蔵助は、きっぱりと大声で答えるのです。
 「士道などというものは、無い! 武士があるのみである!」と。
 これが「僧に法あり」ということなのだな、と納得できました。

 私は、赤松先生のお話でいちばん心に残っている教えがあります。(皆さんは、どういう言葉が心に残っていますか? まだ 【現代人のための 信心のすすめ】 YouTube を見ておられない方は、ぜひともご視聴下さい。)

 それは「大事なことはいつも頭で鳴りひびいているほど、聞け」でした。
 この「僧に法あり」が頭の中に響いていたために、映画の場面がとても味わい深く見れたのだと思います。物事を深く考える訓練になる『徒然草』です。

 最近では本を読むのにデジタルか、紙か? などという話題が出ますが、紙の本でなくては発見も、気付きもないでしょう
 たとえば第112段。訳だけをざっと見たとき、「他のことにかまっていられる状況では」の一文、「原文はどんな?」と気になって、右側の原文に移動しましたら、「諸縁を放下(ほうげ)すべき時なり」と。なるほど!名訳と感心しました。
 紙で読む本には書き込めるので、こうしてすぐ赤線部分をさがすことが出来ました。
 デジタル読書だったら、こうは行かないでしょうね。

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 まだ全部読んだわけではありませんが、古来有名な本の一部をご紹介。
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