易往山 浄勝寺ブログ

岐阜県 揖斐郡 大野町にある、浄土真宗 本願寺派のお寺「浄勝寺」の紹介です。

本気で、さとりを開こうとした男

・『暗い青春・魔の退屈』 坂口安吾著 角川文庫 昭和46年 

 この年末に、「赤ちゃんを寝かせてある部屋に、こんな本が紛れ込んでいた」と言って、娘が渡してくれた、その文庫本は見覚えがかすかにあるものでした。

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 このころは文庫が100円台で買えたのかと、まず驚きますね。
 おそらく私が学生の時(5年間)読んでいたものでしょう。どうして、こんなところにあったのかな?…という疑問は捨てておきます。

 はい、ここからは ナマ のロゴ_convert_20170109184140_convert_20170109203622

 こういう題の本がもともとあったのではなくて、甘く頼りない評論家として記憶している、奥野健男が安吾の青春期を題材にした自伝的作品ばかりを集めた一冊です。
 11篇の中で、私は『三十歳』からのぞき込み、完全に安吾の世界にのみ込まれ、『二十七歳』、『二十一歳』、そして残り全部、と読み進んでしまったしだいです。
 浄土真宗にかかわる人間なら、必読の書ですね。読み直して、よかった!
 奥野健男も、こういうことなら、まぁまぁの仕事ができたのです。

 人間の幅、大きさというものが、人によってとてつもない差があるとわかるでしょう。
 おそらくそんな人間は難解になるか、クセものになるか、とんでもない悪事を働くのがふつうでしょうが、これが《正直、かつ自分のみにくさに敏感》だとしたら、どんなふうに、ものを考え発言するのか、興味津津ですよね…。読むだけで、【人生の実験】を見せてもらえる…。

 名前しか知らないような方のためにも、安吾がどんなに魅力的な男性か、かんたんに察知できる方法をお伝えしましょう。
 ただ、年譜をすこし読めば、いいんです。では、どうぞ―

年譜1_convert_20180106194818
年譜2_convert_20180106194838
年譜3_convert_20180106194909

 すてきな人物でしょ? 
 こういう人物を【豪傑】とよばずに、だれを豪傑というのでしょうか? 日本人ばなれしている、大きな視野の、野生を持っていた人物!
 親鸞聖人という人物も、やっぱり、考えようによっては、他人の思惑なんか気にしない【豪傑】ではなかったか、という仮説を立ててみるのでした。
 本を読んで、新しい仮説が生れるときほど、ステキな瞬間はありません。

 もし関心が芽生えたら、買い求めてお読みください。現在は絶版ですが、amazon の中古で10円から100円くらいで買えるようです。

 そして松岡正剛の『千夜千冊』も、ブログをさがして、合わせて読むべきでしょうね。こんなページです。

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 この頭でっかちの、しかしするどいし、本の虫のような不思議な人は、わたしが高校を出たとき何も知らないわたしに一挙に文化的刺激を与えてくれた、ある意味でお世話になった人なんです。
 ひとことでいえば【豪傑の安吾】、とはまったく逆のタイプの文化人です。あまり好感は持っていませんが、無視してはならない人物です。なんといっても、当代随一の読書量と読書力を持っておられます。

 もう、だれも覚えていないだろうなぁ、高校生向けのタブロイド版新聞 『the high school life』。
 たしか正剛氏が編集していた独特の刊行物。どこからか若い我がアンテナに引っかかって、すぐに東京からすべてのバックナンバーを取り寄せ、食い入るように熟読した18歳の私でした。
 稲垣足穂、土方巽、寺山修司、唐十郎、鈴木忠志、宇野亜喜良、横尾忠則…を一挙に知った、そのインタビューがものすごかった。幻の出版物ですね。(処分済み)
 昨年のブログでの『徒然草』についても、彼の広範な読書による指摘は貴重でした。(ブログではふれていません)
 ーー思いもよらず、わたしの50年前の過去にプレイ・バックしてしまいました。失礼しました!


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